台湾の中秋節
台湾の中秋節は旧暦8月15日に祝われる重要な祝日で、春節、端午節と並ぶ三大伝統節句の一つです。毎年9月中旬から10月上旬頃で3連休になることが多く、家族が一堂に会する大切な時間となっています。

2025年は10月6日(月)、土日も合わせて3連休に!「中秋節快樂」といってお祝いします~
台湾独特の中秋節文化
台湾の中秋節は中国大陸から伝来した伝統を基盤としながら、独自の発展を遂げました。
烤肉(BBQ)文化
台湾で最も特徴的なのが「烤肉」(バーベキュー)文化です。この習慣の始まりには諸説ありますが、最も有力な説は1980年代の醤油メーカーのCMがきっかけとされています。そのCMはこちら↓
萬家香醤油が「一家烤肉萬家香」(みんなでBBQをすれば、みんなが幸せ)というキャッチフレーズのCMを中秋節時期に大々的に展開しました。このCMが大ヒットし、中秋節にBBQをする習慣が急速に広まったと言われています。



まさにこれは「クリスマスはケンタッキー!」という広告を出して、クリスマスの日にケンタッキーを食べる日本の習慣と一緒!
さらに台湾の住宅事情も烤肉文化の定着を後押ししました。マンションのベランダや中庭という限られた空間でも手軽に楽しめるBBQは都市部の生活様式にぴったり。また1970年代から80年代の経済成長により、一般家庭でも肉類を気軽に購入できるようになったことも大きな要因です。
伝統的な月見は静的なアクティビティでしたが、烤肉BBQは家族全員、もしくはお友達同士で楽しく参加できるアクティビティとして人気になりました!こうして「中秋節=烤肉」という独特な台湾文化が根付いていったのです。



ちなみに焼いた肉を食パンに挟んでサンドイッチ風にして食べるのが台湾式BBQの特徴です!
食べ物
月餅
中秋節のお菓子といえば、月餅。日本語の読み方がゲッペイです(昔、私はツキモチだと思っていた)。ご自身で食べることもありますが、贈答用として親戚やお世話になった方にお配りすることが多いです。そのため中秋節近くなるといろんな方からどんどん贈られてきて、月餅だらけになるってことも(笑)最近は伝統的な月餅だけではなく、現代風アレンジをしたものなどいろいろなバリエーションがあります。
文旦柚子
この季節の果物といえば、文旦柚子です。人によって文旦(ウェンダン)といったり、柚子(ヨウズ)といったりしていますが、調べたところ文旦は柚子の一種類だそうです。形は洋ナシのようにくびれていて、日本のハッサクをさらにさっぱりさせたような柑橘果物です。こちらも贈答用としても人気です。


食べるのはもちろんのこと、剥いた皮を子供の頭にかぶせます。これは「柚子(ヨウズ)」と「佑子」(子供を守る)の発音が似ていることから、子供の健康と安全を願うための習慣として行われています。



文旦はめちゃくちゃおいしくて私も大好きなんだけど、剥くのが面倒なのよね…そういう人多いと思う。誰か剥いてほしい!笑


現代の中秋節
伝統的なお月見も健在で、陽明山や淡水などの月見スポットに行かれる方もいらっしゃいます。また企業からは中秋節のボーナス支給もあります。
以前はBBQといえば炭火が一般的で、中秋節は一年で一番空気が汚いと言われていましたが、最近は環境問題などを考え、煙が出ないタイプのBBQグリル(電気)を使う方も増えています。ホテルやレストランでの中秋節セットメニューもあり、祝い方が多様化しています。
日本の十五夜は月見バーガー食べるぐらいですが(笑)、台湾の中秋節はとても重要なイベント。連休ということもあり帰省する方も多く、中秋節前後は新幹線などの予約が取りずらくなります。両親だけではなく、3世代、4世代にわたり家族団らんの時間を過ごすとても重要な行事となっています。
地域による特色
北部:台北付近のBBQスポットといえば河濱公園
中部:台中名物の太陽餅も中秋節には人気
南部:緑豆椪や鳳梨酥なども人気



他にも私が知らない中秋節の文化はたくさんあると思います。
まとめ
中秋節は伝統的な月見文化と現代的な烤肉文化が融合した独特な祝日です。月の下で肉を囲み、家族の絆を深め、台湾らしい温かい人情を感じられる特別な時間を過ごしましょう。